猫嶼の行政区域は澎湖県望安郷に分類され、望安嶼の南西約16キロメートルの海域に位置します。遠くから眺めると2匹の猫が海面で伏せているように見えることから、その名が付けられました。現在は無人島ですが、過去に軍と漁師が活動していたとの記録があります。猫嶼は大猫嶼と小猫嶼、そしてわずかな岩礁からなります。陸地面積はおよそ10ヘクタール、最高地点の海抜は70メートルあり、澎湖諸島の最高峰となっています。また島の地形は険しく、険しい岩の崖が周りを囲んでいます。大猫嶼は地表から湧き出た巨大な岩脈であり、小猫嶼よりも高くなっています。小猫嶼は大猫嶼の東にあり、干潮時には幅約10メートルの海溝で隔てられ、一方には波食棚もあります。周囲には岩礁が広がり、海流も早いため、船で接近したり通りかかったりするのは容易ではありません。この区域の地層上部はいずれも玄武岩で構成され、柱状節理の多くは湾曲しています。下部は火山角礫岩で組成され、壮観な火山岩地質地形の特色を見せています。
 
澎湖県政府は民国80年（1991年）に『野生動物保育法』の公告に従い、大小の島を「澎湖県猫嶼海鳥保護地区」とする台湾初の野生動物保護区に定めました。保護区の範囲は約10ヘクタールの陸地面積のほか、陸地から外側100メートルまでの海域も含まれるため、総面積は36.2ヘクタールになります。猫嶼には数多くの鳥類が生息しています。記録によると計20数科45-55種の鳥類が確認されており、中でもクロアジサシとマミジロアジサシが最も多く、全体の9割を占めます。また、アジア最大のクロアジサシの繁殖場所でもあります。毎年3月から9月の鳥類の繁殖期になると、群れを成した海鳥がここで繁殖、餌取りを行います。その数は1万羽に達し、その光景に驚かされます。マミジロアジサシ、オニアジサシ、エリグロアジサシなどの鳥も島で繁殖します。
 
猫嶼は「海鳥保護地区」に指定されているため、一般の観光客は島に上陸することはできず、島の周辺海域での船からの観察のみに限られます。また、海鳥に害を与える行為や生態環境を破壊する行為は禁止されています。上陸が必要な場合は許可が必要となり、許可されたときのみ上陸して調査することができます。保護地区では島に上陸することは禁じられていますが、夏のアジサシの繁殖期には、船に乗り周辺の海域で楽しむことができます。

データ出典：澎湖トラベル