虎井嶼

観光スポット
虎井嶼は澎湖諸島で7番目に大きな島で、勇壮な玄武岩の柱状節理が見られます。北緯23.5度の北回帰線上にあり、2020年に「台湾の伝統的小さな町」の一つに選出されました。虎井嶼の港は集落の中心にあり、猫たちがのんびりと日光浴したり、伸びをしたり、散歩したりする姿目にすることができます。島には数多くの猫がいることから、近年では「猫島」と呼ばれています。
 島全体の地形は二つの山として東西に分かれており、集落は東西の山の間にあるサンゴ礁の残骸が堆積して形成された地峡にあります。虎井嶼は澎湖湾と馬公港外の要衝に位置しており、馬公港を出入りするには附近の海域を通過する必要があるため、軍事的価値は非常に高く、虎井嶼の東山は現在でも軍事管制地域となっています。西山は国軍が防備を撤収した後、公園に変わり、全長55メートルの追日大道が建設されました。歩道の終わりには、両手を広げて太陽を迎え入れるかのような巨大な手のインスタレーションが設置されています。
 西山の軍事施設跡は、当初「日本軍将校である山本五十六が真珠湾攻撃を指揮した南進基地」として誤って伝えられましたが、後に小規模な「軍事観測所」であることが確認されました。しかし日本統治時代に、日本の海軍が西山に沿岸砲を実際に設置したほか、北西側と南西側に「乙種防備衛所」をそれぞれ設置し、「水中聴音機(パッシブソナー)」を使用して米軍戦艦などの侵入の可能性がある水中目標を監視していました。澎湖湾の反対側に位置する西嶼外垵に設置された「甲種防備衛所」とともに、馬公港の水中を監視する防壁が形成され、その地位の重要性が見て取れます。
 「虎井西山北端防備衛所」は玄武岩の石片で覆われており、外からは北側出入口、中央監視哨、南側出入口を見ることができ、内部にはコンクリートで造られた半地下状の細長い堡塁があります。また、南東約280メートルのところには「南端防備衛所」があり、北風を防ぐために石造りの防風壁が周りを取り囲んでいます。壁の内側には、コンクリートで覆われ、四方の壁に大きな窓がある石造りの建築物があり、主制御監聴室や機械室などの部屋が設けられた、九七式水中聴音機の操作を専門とする聴音所となっています。聴音所の北側には、沿岸砲兵の宿舎であった大小の兵舎があるほか、西側と北側には石造りの防風壁が設けられています。また近くには、発電所や冷水槽などの支援施設があり、さらに北側には石造りの防風壁で囲まれた別の建物があります。
 「虎井西山北端防備衛所」は日本軍山本五十六大将の南進司令所との噂がありましたが、その後の考証により、噂が誤りであることが実証されました。実際、虎井嶼西山にある日本軍の堡塁は、山本五十六による真珠湾奇襲のための秘密基地でもなければ、マラヤやルソン島に向かう南方軍第二艦隊の南進司令所でもないし、一般的な「海防歩哨所」や「観測所」でもありませんでした。

交通案内:詳細なフェリーの時刻表は、馬公市公所(マゴン市役所)の交通船時刻表をご確認ください。
データ出典:澎湖トラベル、交通部観光署、澎湖国家風景区管理処、澎湖県政府(時空の旅人・軍事体験)、『1945年以前における軍事配備の変遷 ― 澎湖を中心とした考察 ―』、『昭和16年12月8日~昭和17年5月31日 馬公警備府戦時日誌』
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